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テレビドラマ『ラジエーションハウス ~放射線科の診断リポート~』最終話

特別コラム

唯織(窪田正孝)は米国でも有数の優秀な放射線科医なのですが、幼馴染みで気持ちを寄せる杏に大人になったら杏の傍にいて、杏のサポートをすると約束をし、そのため、帰国後は診療放射線技師として放射線科医として働く杏の傍で働いていました。

[人物]杏(本田翼)の父で、甘春総合病院前院長の正一が、全身の慢性的疲労感、起立性頭痛に苦しんでいて、頭痛発症前に自転車に追突され、その後、飛行機に乗っていたという状況。同じ診療放射線技師である裕乃(広瀬アリス)が手伝っていた造影CTの際に、チューブから造影剤が漏れたことから、唯織はMRI検査と髄液漏れの検査を放射線科医にお願いした。その画像を見た唯織は、正一が「低髄圧による頭痛」であることを確信する。正一は、追突事故で硬膜に穴が開き、飛行機に乗った際の気圧の変化と乱気流の振動によって低髄圧を発症したものと考えた。髄液が減って脳が下垂したために、起立時に頭痛やめまいに襲われていた。

[頭痛のエピソード]ところがその矢先、正一が突然意識障害を起こす。頭部CT検査の結果、正一は両側性慢性硬膜下血腫で、早めに血液を抜く必要があった。だが、髄液が漏れ出したところに血液が溜まっているため、先に血液を抜くのは危険な状態だった。そこで唯織は、血液を脊椎硬膜の外側に再注入するブラッドパッチを提案する。だが、甘春総合病院の医師にはブラッドパッチの経験がある者がいなかった。すると杏は、自分がやると言い出す。

[推定診断とその根拠]杏は、唯織のサポートの下、まず腰椎のブラッドパッチを行い、無事成功させる。だが、より難易度が高く、失敗すれば運動機能に障害が出る危険性もある胸椎の治療を行えない杏。その姿を見つめていた唯織は、「僕がやります」と言い出す。唯織は、医師免許を持っていることを明かし、杏に代わって胸椎のブラッドパッチを成功させる。しかし、報告を受けた院長である渚(和久井映見)は、技師以上の仕事をしたら放射線科医として働く、という約束を守ってもらう、と唯織に告げた。渚は来月から正式に放射線科医として採用したいと唯織に告げるが、唯織はそれを断り、解雇してほしいと申し出る。

 

[予防とケア]低髄液圧による頭痛

何らかの原因で脳脊髄液が漏出もしくは減少することで、髄液圧が低下し、そのために座位や立位で脳を包んでいる硬膜が重力で牽引されて起こる頭痛です。ドラマのように外傷は典型的ですが、尻もちをついたり、強い咳き込みやクシャミ、性行為でも脳脊髄液が漏出することがあります。性交後に良く起こる体位性頭痛は、ほとんどが髄液漏出の結果と考えられています。

頸部痛、耳鳴り、聴力変化、光に対する過敏性亢進(異常に光がまぶしく感じること)や吐き気を伴うことが多いとされています。

当然、横になると髄液圧は正常となり、頭痛は改善します。鎮痛薬などは効果が全くありません。治療はドラマの通り、自家血硬膜外注入療法(ブラッドパッチ)が主となりますが、1回の施行では永続的ではなく、2回以上の自家血硬膜外注入療法が必要なことがあります。