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漫画『進撃の巨人』のヒロイン “ミカサ”

特別コラム

一世を風靡しTVアニメ化、映画化までされた“巨人”が人類を食べてしまうという「少年マガジン」に2009年から2021年に掲載された漫画です。

今から1820年前にエルディア人の祖先“ユミル・フリッツ”は「大地の悪魔」と契約して「巨人の力」を手に入れます。これが最初の巨人となります。ユミルは死後も「9つの巨人」に魂を分け、エルディア帝国を築きます。巨人の力で国を豊かにし、エルディア人に富をもたらしました。これにより古代の大国マーレを1700年間支配していましたが、マーレの内部工作によりマーレが「九つの巨人」のうち7つを手駒に従え80年前にマーレ大国が復活。巨人全てを支配し操る「始祖の巨人」はエルディア人が継承していましたが、戦うことを放棄した第145代エルディア王フリッツは、一部の国民だけを連れてパラディ島に逃れ3重の壁の中に籠ります。巨人から人類を守る壁は三段階になっており、外側からWalll-Maria、Wall-Rose、Wall-Sinaという壁がありますが、実は全て硬質化した巨人を材料に作られています。

残りのエルディア人は壁の外に追いやられ、マーレの圧制下に置かれてしまいます。

しかし、再びエルディア人は「エルディア復権派」なるものを作っており、当時、若い医師であったグリシャ・イェーガーはマーレ人による酷い妹殺害に対して激怒しており、「エルディア復権派」の一員となり、マーレにうまく侵入していました。同じくマーレ内通者のダイナ・フリッツと結婚し、生まれたのがジークです。ジーク・イェーガー(エレンの異母兄で、「獣の巨人」)は7歳の時に、マーレ政府に自分の両親、つまり、グリシャ・イェーガーとダイナ・フリッツを密告して、「エルディア復権派」は全員「楽園」(人喰い巨人「無垢の巨人」にされてしまう)に送還されます。この際に「フクロウ」というマーレに侵入していたエルディア人でかつ、「9つの巨人」の一人「進撃の巨人」と出会います。「9つの巨人」のどれかを継承した者は13年で死ぬ。グリシャは「進撃の巨人」を継承し、その後、息子であるエレン・イェーガーが「進撃の巨人」を継承することになります。エレンはさらに「王家の血を引く巨人)と接触した際に「始祖の巨人」の力を発動することができるようにもなります。

[人物]エレン・イェーガーは「進撃の巨人」を継承するずっと以前に、第104期訓練兵団を5位で卒業します。第104期訓練団員には、この物語で忘れてはならないミカサ・アッカーマン(命の恩人であるエレンに好意を寄せる女の子、第104期訓練兵団を首席で卒業)、二人の幼馴染みのアルミン(運動神経は鈍いが座学に優れ、発想が天才的でベルトルト死後に「超大型巨人」を有する)、2位で卒業のライナー・ブラウン(「鎧の巨人」)、3位はベルトルト・フーバー(ライナーと同郷で積極性に欠けるが、「超大型巨人」)、6位はジャン・キルシュタイン(当初は巨人には叶うはずがないのでなるべく王のそばで安全をkeepしたいというやましい奴だったが、途中からエレンと同様の思想に代わっていきます)、7位はマルコ・ボット(巨人が実は元が人間ではないか?と疑問に思い、それに確証を得られると困るライナーとベルトルトが、わざと巨人に食べられてしまうように仕向け死亡)、8位はコニー・スプリンガー、9位はサシャ・ブラウス(破天荒な女子)、10位はクリスタ・レンズ(小柄でとても優しく、巨人からの侵入を防ぐ壁の秘密、大型巨人が主柱となっており、壁の表層は硬化した巨人の皮でできていることを公にできる血族で、本当の名はヒストリア・レイス、ロッド・レイス卿(実は真の王)の妾の子であり、本名を隠しています)がいます。

人類を守る兵士には調査兵団(50mの壁の外で巨人と戦う最も危険な職務)、駐屯兵団(壁の強化に努め、各街を守る職務)、憲兵団(王の元で人類を統制する職務で、訓練団のトップ10位までしか入団できない)があるという設定です。

エレンは調査兵団を志望し、友人のアルミンもエレンと同じ希望しますが、エレンの母親のカルラは壁の中で100年平和であったし、危険を冒して欲しくない親心から入団を猛反対します。しかし、ある日、いとも簡単に超大型巨人(60m級)に壁を壊され、平和から人類は再び蹂躙され、カルラはいとも簡単に巨人に食べられてしまいます。

ミカサもエレンと同じ団に入団希望を出しますが、それはミカサの両親が人身売買している連中に殺害され、ミカサも人身売買されそうになったところをエレンが助けたからでした。

エレンは母親の死後、医師の父グリシャ・イェーガーとの最後の記憶、「鍵を肌身離さず持っていなさい。この鍵を見るたびに自宅の地下室に行かなくてならないことを思い出しなさい。地下室に行けば真実がわかる。でも、それは今ではない。腕を出しなさい!」と記憶を無くされてしまう注射を打たれた時のことを思い出そうとすると猛烈な頭痛発作が起こる。

エレンはアルミンを助けようとして大型巨人に食べられてしまいますが、実は「進撃の巨人」であるため、エレンを食べた大型巨人は人喰い巨人を次々と殺害していきます。その大型巨人は他の巨人に共喰いされて命尽きますが、その大型巨人の中からエレンが生きた状態で発見されるのです。まだ、この時点ではエレンが「進撃の巨人」であることはエレン自身も知る由もなく、駐屯兵団からエレンは人類の姿をした大型巨人と判断されますが、巨人を倒せる唯一の大きな存在でもあると期待され調査兵団に入団を許可されます。

巨人は生殖器が存在せず、ほとんどが男性の様な体つき。人間以外の生物に一切、関心を示さない。巨人は首や手足を切断されても再生可能で唯一、倒す方法は後頭部からうなじにかけての肉を削ぐことでした。それは脳から脊髄に移行する部位でもあり、後頸部に「9つの巨人」は司令塔のような形で入っていました。「9つの巨人」以外に多数出てくる巨人は「無垢の巨人」と言い、全く自分の意思を持たず、ただ単に人類を食べることだけしかできず、脳から脊髄に移行する部位の肉を削げば死滅します。「9つの巨人」の中には「無垢の巨人」を操ることができる巨人が数名います。

エルヴィン・スミス団長にエレンをとにかく守る様に指示されるリバァイ調査兵士長。巨人を統率できる能力を持つエレンと真の女王になるクリスタを、そうはさせまいと憲兵団対人制圧部隊長ケニー・アッカーマン(ミカサの親戚であるアッカーマン家の一人で、リヴァイ兵士長の叔父にあたる)によってさらわれてしまいます。それを奪い返すためにリヴァイ兵士長はじめ、調査兵団は動き出します。

偽りのフリッツ王を統治していた私利私欲の塊である王政は、調査兵団長エルヴィン・スミス、ザックレー総統、ピクシス司令(駐屯兵団の長)により破滅します。

一方、ロッド・レイス(真の王)の長女フリーダは領民の労を労う心優しい子でヒストリアにも優しく接していたが、ロッド・レイスとヒストリア以外はエレンの父、グリシャ・イェーガ医師に惨殺されてしまう。この時のグリシャ・イェーガーは「進撃の巨人」であり、レイス家が持つ、フリーダの中に宿る巨人(全ての巨人の頂点に立つ力、つまり無敵の力を持つ巨人「始祖の巨人」)の力を奪うために惨殺しました。フリーダもまた、叔父を食べることで「無敵の巨人の力」と「世界の記憶(人類すべての記憶を塗り替え、過去の歴史を根絶する)」を継承しますが、これはレイス王家の血を引く者でないと真の力は発揮できません。フリーダはまだ、その無敵の力を使いこなせずにグリシャに食われてしまい、その力はエレンの中にあります。問題なのは、レイス家は初代から巨人が人類を支配する思想を持っていて、結局、レイス家の血を引くものが真価を発揮できても、人類は巨人から解放されることはない。それを知っていたグリシャは人類を守るためにレイス家の血を途絶えさせるために食べたのでした。

アッカーマン家はレイス王家側近の懐刀的存在でしたが、王家がアッカーマン家を含む少数派の血族は記憶を操ることが出来ませんでした。大多数の民族は記憶をレイス家の力により「記憶の改竄」をされていたが、その思想に異を唱えたのが「アッカーマン家」と「東洋の一族」でした。実はアッカーマン一族はエルディア王を守る意図で設計、誰かを宿主と認識すると本能が目を覚まし極限状態まで身体能力が高められる一族なのです。アッカーマン一族であるミカサがエレンを気にするのは死の直前で、エレンから「戦え!」と言われ、ミカサはエレンを宿主としての本能が目を覚まし極限状態まで身体能力が高められ、護衛すべきはエレンのみと記憶されたからかもしれません。力に目覚めたアッカーマンは、本来の自分が宿主の護衛を強いられていることに抵抗を覚え、突発性の頭痛を起こす。

[頭痛のエピソード]さて、物語で重要な局面でミカサは頭痛を何度も起こします。

原作本34巻の中ではページ数が記載されていませんが、1巻、11巻、21巻、27巻、28巻、34巻で起こしています。

1巻では、いとも簡単に超大型巨人に壁を壊され、一瞬にして平和から人類は再び蹂躙され、エレンの母親であるカルラはいとも簡単に巨人(実はこの「無垢の巨人」はジーク・イェーガーの母親で王家の血を引くグリシャ・イェーガーの最初の妻)に食べられてしまいます。この時にミカサは頭痛を感じます。ミカサは「あぁ、また、これか」という程度の右側頭部の拍動性頭痛でした。

11巻でも、1巻同様の頭痛が起こります。巨人化したエレンは「鎧の巨人」ライナーと「超大型巨人」ベルベルトと戦い、連れ去られてしまいます。この時もミカサは「あぁ、また、これか」という程度の右側頭部の拍動性頭痛を感じています。

21巻では調査兵団の一員としてアルミンが「獣の巨人」、「車力の巨人」、ライナーなどと戦っている中で大怪我を負い、一時、呼吸停止しかけたものの、その後に息を吹き返したアルミンに対して、エレンが、「息をしろ、頑張れ!」と、げきを飛ばしている最中にミカサに頭痛が・・・。この後、アルミンは巨人になる注射を打たれ瀕死から回復し「超大型巨人」となります。

27巻では幼少の頃、ミカサが盗賊にさらわれそうになった時に、エレンが盗賊を殺害してミカサを助けるが、そのことを思い出して、ミカサは激痛を頭部に感じます。

28巻ではエレンがミカサに対して、アッカーマン一族は人の姿のままで一部の巨人の力を引き出せる力があり、また、元々がエルディア王を守る意図で設計されたため、誰かを宿主と認識した途端に習性が発動し、つまり、エレンは死に直面した極限状態のミカサを守り、ミカサに「戦え!」という命令をした時点で、ミカサはエレンを宿主と認識し、エレンに執着していると言い出す。また、力に目覚めたアッカーマンは、本来の自分が宿主の護衛を強いられていることに抵抗を覚え、突発性の頭痛を起こすことが良くあるとも指摘されてしまいます。

ミカサが昔の記憶でエレンが盗賊を殺し、ミカサを助けてくれるシーンを回想した瞬間にも頭痛に襲われます。

最終話の34巻ではエレンによる「超大型巨人」を使用した「地鳴らし」を始め、過去・現在の「9つの巨人」が「始祖の巨人」の元に現れ、騒然とした戦いを繰り返す中、「始祖の巨人」はエレンにくっ付こうとしますが、それを皆に阻止され、「始祖の巨人」の骨が消え始めます。つまり、それはエレンの死を意味するもので、それを察知したミカサに鋭い頭痛が襲いかかります。

しかし、エレンは死んでおらず、エレンを仕留めるまでは、また、「地鳴らし」が始まる可能性もある。そのような中、ミカサを再度、頭痛が襲いかかります。

制御できない「進撃&始祖の巨人」であるエレンを「超大型巨人」のアルミン、「鎧の巨人」のライナー、「車力の巨人」などが一斉に襲う。そこでもミカサは耐え難い頭痛を経験します。

ミカサは最後の力を振り絞ってエレンの首を切り落としエレンは死ぬ。それによって、「始祖の巨人」も消滅し、「巨人」が全ていなくなり、エルディア人とマーレ人のわだかまりもなくなり物語は終わります。

[推定診断とその根拠]では、ミカサの頭痛とはいったい何だったのでしょうか?

まず、ミカサの頭痛のパターンとして、拍動性の痛みが比較的短時間で消え、随伴症状として、吐き気や嘔吐を含めてその他の症状はないことが挙げられます。痛みが強いものの、すぐに戦闘態勢に入ることもでき、この時点で片頭痛や短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、発作性片側頭痛などは否定できます。

また、必ず頭痛時発症の引き金にエレンが関係しており、エレンが鼓舞する、幇助する、支持することが関係しています。

エレンの指摘するアッカーマン一族の習性で、エレンは死を直面した極限状態のミカサを守り、ミカサに「戦え!」という命令をした時点で、ミカサはエレンを宿主と認識し、エレンに執着しており、力に目覚めたアッカーマンは、本来の自分が宿主の護衛を強いられていることに抵抗を覚え、突発性の頭痛を起こすことが良くある。は誰が考えてもあり得ないでしょう!

ミカサにとってエレンは最愛の人であり、ヒーローでもあり、何も強いられてはいませんでした。

物語ではエレンは「始祖の巨人」となり、人の記憶までも操作できるようになりますが、エレンが記憶を消した相手は、全て第104期の仲間たちです。しかし、ミカサだけが純血のエルディア人ではないために記憶を消し去ることができませんでした。それもミカサの頭痛を消すことができなかった一つの理由と考えられます。

最終巻でミカサの頭痛は始祖ユミルに頭の中を覗き見されていたことが原因での一つかもしれないことを匂わせる箇所があります。

ユミルがミカサの頭を覗いていたのは、ミカサがユミルを2000年の愛の呪縛から解放する存在だったためです。

始祖ユミルは本来争いを好まない優しい少女でしたが、始祖の巨人の力を手にして以降はマーレを滅ぼそうとするフリッツ王に従い虐殺を繰り返してきました。

ユミルは絶大な力を手にしてもなおフリッツ王に従い続けた理由はフリッツ王への愛です。

奴隷としてフリッツ王に仕えていましたが、ユミルはフリッツ王の命令に従い続ければいつか愛される日が来ると信じ虐殺に手を貸してきました。

そして死後も「道」に留まり、「巨人を作り続けろ」というフリッツ王の命令に従い続けたことで巨人による殺戮の歴史の元凶となってしまいます。

ユミルは全て自分が生み出した巨人のせいであることは理解しており、フリッツへの愛を断ち切らなければと考えていました。

そんなユミルを愛の呪縛から解放する存在がユミルとよく似た境遇のミカサだったのです。

始祖ユミルがミカサに自分を重ねたのは、ミカサがエレンを宿主としたこと、一方では宿主であるエレンを愛していること、本来は争いを好まない優しい性格であることと、自分と酷似していたからです。

エレンを宿主としたミカサはエレンを愛する気持ちの方が強く、自分がどうしたいかではなくエレンの気持ちを優先させてきたのです。

ミカサの境遇を自分と重ねたユミルは、地ならしで世界を滅ぼそうとするエレンをミカサに殺させることで、自分がフリッツ王の暴走を止められなかった未練を解消しようと考えました。

つまりユミルがミカサの頭の中を覗いていたのは、ミカサとエレンの関係性とミカサのエレンへの愛情を観察して、エレンを殺そうとするミカサに自分の気持ちを投影するためだったことが表されています。

しかし、これが頭痛の原因になるとは考え難いのです。なぜならば、脳には痛みを感じるセンサーがなく、例え、ニューロン単位で何らかの指令がミカサに入っても頭痛には至らないのです。

では、なぜ、ミカサはkeyになる場面で頭痛を起こしたのでしょうか?

[予防とケア]ミカサの頭痛の決め手は医学的にはありませんが、PTSDの部分症状かもしれません。ミカサの頭痛にはエレンが関係しているようにも見えますが、望ましくない記憶の出現や惨事が必ず関わっています。エレンの愛だけが治療薬になったと想像できます。

 

心的外傷後ストレス障害(PTSD

ミカサの頭痛は国際頭痛分類上の367種類には当てはまるものはなく、PTSDの部分症状ではないか?と推測します。

PTSDは著しく非日常的なストレス体験をきっかけに、ストレスホルモンとして知られる副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰分泌されることが原因と考えらており、これが頭痛発作に関係していると推測されます。

PTSDでは侵入症状や回避症状が必ずみられます。

侵入症状として、外傷的出来事が意図しない、望ましくない記憶、または繰り返す悪夢の形で何度も現れます。出来事を単に思い出すのではなく、実際にその出来事が起こっているように再体験するフラッシュバックが起こる人もいます。回避症状としては、トラウマを思い出させる物事(活動、状況、人物)を執拗に避けるようになります。